私の恩師がよく「日常の中の非日常にこそ本質がある」というようなことをおっしゃっていた。
本質から具体的な現実が現れてくるし、日常の中の非日常性こそが私たちの生きる原動力となる。
日々の生業(なりわい)の中に、時折、非日常の出来事が顔を出し、限られた現実世界を新しいものに変えてくれる。もちろん、世界の方が変わったのではなく、非日常的な出来事を経験することで、私たちの世界への態度や認識が、180度変換せしめられるのであるだろう。
「パパ、おかえり」と我が子が帰宅時に玄関に立つ私のところへ走ってくる日々の出来事も、私という主体者が生きる世界の上で日常的に起こっている出来事に過ぎず、帰宅が遅くなり我が子が走ってこない非日常的な出来事を経てこそ「有難い」と感じるのだ。「当たり前」という自分の感覚に刻まれた日常性を打ち崩し、新たな日常性を生み出すのは、まさにこういった非日常的な体験があってこそと言える。
「日常の中の非日常性」
簡単なようで難しく、難しいようで簡単な理(ことわり)。
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