2007年7月30日月曜日

本当のカルチャーショック

 私は以前、一年半ほど外国留学していたことがある。留学に行く前は知人から、生活習慣や言葉が違う国に行くと、カルチャーショックを受けるというようなことを言われていた。確かに様々なカルチャーショックがあった。

 ナイフとフォークを使っての食事。肉食中心の食生活。毎日のように肉(特に羊肉)を食べるのには、まいった。肉食は日本人にあわないとつくづく思った。さらに、言葉に関しては、日本語と英語(後にベトナム語も)が混ざって奇妙な言葉を話してみたりすることもたびたびあった。

 面白かったのは、韓国人が多い英語のクラスで、私が発表のとき、誤ってホッチキス(英語ではステイプラー)のことをそのままホッチキスと言ってしまったときのことだ。韓国人のクラスメイトは笑いながら、「違う違う、ステイプラーだよ、シューセー」となぜかホッチキスという言葉を知っていた。後で知ったのだが、韓国でもホッチキスはホッチキスと呼んでいるという。さらに、彼らはなんとつめ切りのこともつめ切りと呼んでいた。しかも、彼らは、それらが韓国語であると思っていたのだ。韓国語の中に外来語として日本語が入り込んでいるということを、日本人の私も、韓国人のクラスメイトたちもそのとき知ったのだった。日本ってすごいなと少し誇らしげに感じたことを思い出す。

 日本から出て外国で暮らすと、日本人がいかにいろいろなことができるかがよく分かる。学校教育の水準がかなり高いと思う。日本人はそれなりのことが、普通にできると思う。自分たちでは気づいていないが、いろいろな教育を受けている。識字能力はもちろん、計算力、判断力など、実際にはかなり高度に教育されているのではないかと思う。なのにそれを応用できない、というのが日本人の性格であると思う。だいたいが遠慮して、「私にはできません」と言ってしまう。
 しかし、一歩外に出れば、字が読めない人、数を数えられない人、何の教育も受けられない人が数え切れないほどいる。そのような人々の中で暮らせば、日本人は様々のことを教えてあげることができるのだ。こういった事実も、日本人ってすごいなぁ、と感じたことのひとつである。

 実は私にとってのカルチャーショックは、日本に帰ってきて起こった。日本は異常に物価が高いのだ。日本は何を買うにも値段が高すぎると感じた。「日本人は日本人同士でだましあっているのではないか?」という疑問がわいた。さらに、日本で流れているCMが金貸しのCMばかりになってしまったことは大ショックであった。ダンスをするオネーサンたちのCMやきれいな目をしたご主人様と犬のCMなど、なぜこんなCMばかりになってしまったのだ?と愕然としてしまった(最近は宝くじのCMをよく見かけるが・・・)。日本はいったいどうなってしまうのか、そんな思いがよぎった。

 いずれにせよ、留学という体験を通して、日本人である自分を見つめ直すことができたと思う。

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