2007年10月21日日曜日

季節の変化

2~3週間前から、町を歩いていると金木犀(きんもくせい)の本当にいい香りがしている。
金木犀の香りがすると、自然に秋が来たと感じられ、日本に生まれてよかったなと自然に感じる。

大学生のときにもぐりこんだ国文学の授業で、古今和歌集を教えていただいたことがある。
その中で、特に感動したのが、小野小町の有名な次の歌の解説であった。

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身 世にふる ながめせしまに

通常この歌は、小野小町自身が「花の色(私の容貌)は、長い雨(ながめ)が降っている間(梅雨の季節)に、移り変わってしまったなぁ」という内容だと教えられているが、本来的にはこれでは足りないといった内容であった。
つまり、小野小町は恋人の気持ちを詠んでいるというのだ。

「私が歳を取り、容貌も変わってしまったせいで、あなたの私への想いも(別の若い女性)に移っていってしまったわ」という含意があるという。

もちろんこの歌を単なる色恋沙汰が詠まれている歌だと考える人はいないと思う。人の心も季節も移り変わっていくものであり、その中に人生の機微とでもいうべきものがあるのだということが表現されている。しかもたった何十文字かの歌の中で、この世界の森羅万象に通じる事柄が歌いこまれているということは本当に驚愕に値する。

四季折々の花が咲き、移り変わりがある。
この世界に生まれてきて、よかった。

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