電話などをしている時、今から相手のいる場所に行く場合、一般的には「今からそっちに行きます」と言う。
ところが、くどいようであるが、長崎弁ではそうは言わない。
「おい、今から来っけんが」
などのように言う。
「私は今からそちらに向かいますので」といった意味になるだろうか。
長崎弁では、相手がいる場所に「行く」ことを、なぜか「来る」と表現する。これは、まさに英語の感覚と同じである。
英語の場合、たとえば夕食時にお母さんがご飯ができたとき、別の場所にいる子供たちを呼ぶと、子供たちは「Yeah, I'm coming!」と応える。意味としては「うん、今行くよ」といった具合だ。
英語においても呼びかけた相手のいる場所に行く場合は、come(来る)を使用するのである。
つまり、英語においても長崎弁においても、自分が相手の立場に立って、相手の視点でものを言う、思いやりのある言葉と言えるのだ。
長崎弁などの方言を考察すると、日本語の歴史といったものが垣間見えるようで、柳田國男先生を引き合いに出さずとも、本当に示唆に富んでいて楽しい。
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