最近読んでいる本に塩野七生著『ルネサンスとは何であったのか』(新潮文庫)がある。
この本はこの四月に文庫化されたもので、たまたま本屋に寄った折に目に付き、即買いしてしまった本である。
タイトルの通り、ルネサンスについて書かれているのであるが、私がこの本に興味をもったのは、以前、知人から、「今なおルネサンスは完結していない」という命題を聞いてからである。
古代の再興として捉えられているルネサンスではあるが、考えてみると人間の「自由」と「束縛」という二者は、歴史を通して、交互にあるときは発展し、あるときは衰退しという浮き沈みを繰り返しながら進んできた。近代に入り、資本主義、自由主義が台頭し、人間が自由に生きることが保障されるに至るまでには二回の世界大戦を経なければならなかった。
しかし、今日会見したダライラマが暴力反対を訴えておられたように、未だに世界では束縛と暴力のうちに生きている人も存在する。
ルネサンスとは何であるのか?という問いは、人間とはどうあるべきか?という実存的な問いとともに、考えていかなければならない問いであるように思われる。
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